臨床報告
非穿孔性線維柱帯切除術の線維柱帯切開術併用効果
著者:
小川月彦1
山下美和子1
宗今日子1
嵩義則2
所属機関:
1長崎市立市民病院眼科
2ダケ眼科クリニック
ページ範囲:P.147 - P.152
文献購入ページに移動
非穿孔性線維柱帯切除術(NPT)の線維柱帯切開術(TLO)併用効果を64眼について検討した。内訳は,原発開放隅角緑内障39眼,嚢性緑内障9眼,正常眼圧緑内障8眼,原発閉塞隅角緑内障4眼,ステロイド緑内障4眼である。31眼にはNPTのみを行い,33眼にはこれとTLOを併用した。術中マイトマイシンCは36眼に行った。白内障同時手術を38眼に行った。平均17か月の観察期間後の眼圧平均値はNPT単独群15.8mmHg,併用群12.2mmHgであり,薬物スコアはNPT群1.6点,併用群0.9点で,いずれも併用群がNPT単独群より有意に低かった。Kaplan-Meier法を用いた生存率曲線の検討では,術後眼圧16mmHg以下と14mmHg以下へのコントロールは,併用群が有意に良好であった。全症例を通じて,浅前房,低眼圧黄斑症などの重篤な合併症はなかった。NPTにTLOを併用することで,進行した緑内障に対しても良好な眼圧コントロールが可能であると考えられた。