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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻2号

2002年02月発行

文献概要

臨床報告

全身性エリテマトーデスに合併したサイトメガロウイルス網膜炎の疑い例

著者: 江富朋彦1 徳岡覚1 桑原ちひろ1 佐藤孝樹1 田聖花1 池田恒彦1

所属機関: 1大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.155 - P.160

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 33歳女性に蝶形紅斑と手足の腫脹が4か月前に発症した。全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され,6週前から副腎皮質ステロイド薬と複数の抗癌剤の全身投与を受けていた。結膜浮腫が生じ,その精査のため眼科を受診した。網膜浮腫以外には眼科的に異常所見はなかった。その2か月後に両眼の視力障害が突発した。右眼底に出血が混在する黄白色の滲出斑があり,サイトメガロウイルス網膜炎(CMV網膜炎)が疑われた。ただちに上記の投薬を中止し,ガンシクロビルとγグロブリンの全身投与を開始した。さらに4週後に左眼に同様の病変が発症した。1か月後に両眼の眼底病変は軽快し,その3週後に薬剤投与を中止した。20か月後の現在まで再発はない。全経過を通じ,血清などからCMVは検出されていない。本症例で眼底病変が治癒に至った理由として,ガンシクロビルが奏効しただけでなく,ステロイド薬や抗癌剤の中止で患者の免疫力が回復したことが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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