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特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(1) 原著
地図状脈絡膜炎の赤外蛍光眼底造影像と治療経過
著者: 鈴木水音1 戸張幾生1
所属機関: 1東邦大学医学部第2眼科学教室
ページ範囲:P.253 - P.257
文献購入ページに移動 73歳女性が,10日前からの左眼霧視で受診した。初診時の矯正視力は右0.5,左0.03であった。乳頭周囲と後極部に網膜浮腫を伴う灰白色滲出病変が左眼にあり,地図状脈絡膜炎と診断した。右眼眼底は正常であり,フルオレセイン蛍光造影(FA)は正常であったが,インドシアニングリーン(ICG)赤外蛍光造影では脈絡膜に中・大血管の拡張と血管透過性亢進があった。その2週後に右眼視力が0.15に低下した。眼底に左眼と同様の病変があり,ICG造影で,病巣部内に造影早期から後期に至る低蛍光があった。12か月後に病変は沈静化した。ICG造影所見として,萎縮巣に低蛍光が残ったが,急性期にあった脈絡膜血管の変化は改善した。地図状脈絡膜炎では,前毛細血管部での脈絡膜動脈閉塞が原因とされているが,脈絡毛細血管板レベルでの循環不全が生じる前に,脈絡膜の中・大血管の異常があることが推定された。
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