icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻3号

2002年03月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(1) 原著

眼窩先端部症候群として発症した眼窩真菌感染症の1例

著者: 楠原仙太郎1 山本博之1 安積淳1 根木昭1

所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座(眼科学分野)

ページ範囲:P.283 - P.287

文献購入ページに移動
(P−340) 75歳女性が,5週間前からの右眼窩先端部症候群で紹介され受診した。1か月前から右三叉神経痛に対して副腎皮質ステロイド薬治療を受けていた。矯正視力は右眼0,左眼1.0であった。磁気共鳴画像検査(MRI)で,右後篩骨洞から眼窩先端部に浸潤性病変があり,真菌感染が疑われた。眼窩前方アプローチによる眼窩生検の結果は炎性偽腫瘍であった。抗真菌薬と副腎皮質ステロイド薬の全身投与と放射線照射で加療したが,初診から5か月後に左眼視力が消失した。経鼻的に篩骨洞と視神経管開放術を行い,右後篩骨洞に大量の真菌塊が発見され,アスペルギルスが同定された。手術の3週後に患者は真菌の脳内浸潤で死亡した。眼窩先端部症候群を呈する真菌症はしばしば致死的であり,診断と治療には他科との十分な連携が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?