文献詳細
特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(1)
原著
文献概要
(P−142) 1991年から2000年までの10年間に,東京医科大学病院眼科で眼窩腫瘍と診断された218例について,レトロスペクティブに検討した。眼窩腫瘍の頻度は同期間の眼科新患患者数の0.2%に相当した。片側性199例(91%),両側性19例(9%)で,両側性腫瘍のうち8例は炎性偽腫瘍,7例は悪性リンパ腫であった。全218例中,153例(70%)は良性,65例(30%)は悪性腫瘍であった。原発性腫瘍150例中,125例(83%)は良性で,主な疾患は炎性偽腫瘍41例血管腫13例,反応性リンパ組織過形成11例,神経原性腫瘍8例などであった。続発性腫瘍は68例中,副鼻腔嚢腫および術後性嚢胞が23例,副鼻腔悪性腫瘍が17例,転移性腫瘍が21例を占めた。今回の調査では過去の本邦の報告と比較して,悪性リンパ腫や転移性悪性腫瘍の占める割合が多かった。今後は画像診断検査や脳ドックなどの検診の普及に伴い,無症候性眼窩腫瘍の増加も予想される。
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