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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻3号

2002年03月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(1) 原著

灌流領域の異なる黄斑部に漿液性網膜剥離を併発した網膜静脈分枝閉塞症の1例

著者: 尾崎恵子1 中島久美子1 疋田春夫1 林英之2

所属機関: 1疋田眼科医院 2福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.313 - P.316

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(P−245) 58歳男性が右眼の飛蚊症で受診した。矯正視力は左右眼とも1.0であった。左眼の乳頭下方に出血を伴う静脈の拡張と蛇行があり,黄斑を含まない網膜静脈分枝閉塞症と診断した。両眼とも小乳頭であり,視神経乳頭低形成の所見を呈した。初診から5週後に左眼矯正視力が0.15に低下した。眼底所見は初診時と同様であったが,黄斑部に網膜浮腫様の所見があり,網膜厚解析装置(RTA)で漿液性網膜剥離と同定された。プレドニゾロンの内服を行い,視力は4日後に0.5,5か月後に1.0に回復した。悪化1か月後に黄斑部の網膜剥離は改善し,2か月後に黄斑部の網膜厚は悪化以前のそれに回復した。本症例の黄斑部網膜剥離の原因として,網膜静脈閉塞症に好発する黄斑浮腫ないし漿液性網膜剥離とは異なり,視神経乳頭低形成による脈絡膜循環障害の関与が推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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