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特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(2)
原著
文献概要
過去10年間の眼瞼脂腺癌20例の治療成績を検討した。男性5例,女性15例で,初診時の年齢は43歳から90歳,平均68.5歳であり,上眼瞼が17例,下眼瞼が3例であった。腫瘍はすべて眼瞼内に限局していた。発症から当科受診までの期間は2か月から8年1か月,平均25か月であった。12例は以前に霰粒腫として切開術を受けていた。初回治療として16例に手術切除を行い,うち6例には放射線照射を追加した。早期例3例には光線力学的療法で腫瘍を縮小させたのち手術を行った。当初から腫瘍が大きな1例には放射線単独照射を行った。治療開始から3か月から8年1か月,平均3年2か月の期間中,腫瘍が瞼裂幅の2/3以下の18例には再発がなく,これよりも大きい2例のうち1例に転移,1例に雨発と転移が生じた。眼瞼脂腺癌が瞼裂幅の2/3以下であるときには,手術で完全切除を行い,必要に応じて放射線照射を追加することが勧められる。
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