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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻4号

2002年04月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(2) 原著

シクロスポリン全身投与が奏効した壊死性強膜炎の1例

著者: 竹澤美貴子1 猪木多永子1 山上聡1 小幡博人1 水流忠彦1

所属機関: 1自治医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.547 - P.550

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 85歳女性が7日前からの左眼角膜混濁で受診した。実質型角膜ヘルペスを疑い,アシクロビルと抗生物質の局所投与とプレドニゾロン内服を開始した。5週後に角膜が穿孔した。プレドニゾロンを中止し,治療用コンタクトレンズの装用などで穿孔創は閉鎖したが,その1か月後に壊死性強膜炎が発症した。プレドニゾロン内服を再開し,非ステロイド性抗炎症薬の内服を開始した。さらに4か月後に前房蓄膿が生じたが前房水の培養は陰性であった。多発性胃潰瘍のためにプレドニゾロンを中止した6週後に壊死性強膜炎と思われる黄色結節が鼻側上方に生じた。シクロスポリン内服を開始して眼痛と壊死性強膜炎は軽快した。3か月後の再燃も同様に対処し,以後9か月間治癒した状態にある。副腎皮質ステロイド薬が投与困難または無効な壊死性強膜炎にシクロスポリン内服が奏効した症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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