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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻4号

2002年04月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(2) 原著

von Willebrand因子が高値で動脈炎性前部虚血性視神経症を疑った1例

著者: 澤田達1 岡田康平1 渡辺敏夫1 高井七重2 池田恒彦2

所属機関: 1南大阪病院眼科 2大阪医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.571 - P.576

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 79歳女性が3週前からの左眼霧視と側頭部痛で受診した。手と足関節などに疼痛があり,5か月前に慢性関節リウマチと診断され,ベタメタゾンを投与されていた。矯正視力は右0.7,左0.02であり,乳頭発赤が左眼にあった。蛍光眼底造影で乳頭に充盈欠損があり,赤沈が亢進し,血液検査でvon Willebrand因子が高値であった。側頭動脈の生検で巨細胞動脈炎の所見はなかったが,動脈炎性前部虚血性視神経症(AION)と診断した。ステロイドパルス療法などで赤沈は正常化し,左眼矯正視力が0.5に改善したが,von Willebrand因子は高値のままであった。AIONの診断と炎症の活動性を示す視標としてvon Willebrand因子が有用ではあるが,これがステロイド漸減の指標とはならないことを示す症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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