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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻5号

2002年05月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(3) 原著

片眼の結節性強膜炎と網膜下腫瘤性病変をきたしたベーチェット病の1例

著者: 浦野哲1 田口千香子1 末田順1 棚成都子1 吉村浩一1 疋田直文1 山川良治1

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.695 - P.699

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 27歳女性が,5日前からの右眼充血で受診した。陰部潰瘍が5年前にあり,ベーチェット病と診断されていた。2年前に頸部リンパ節結核があった。眼底は正常であったが,右眼に前房蓄膿があった。4週後に結節性強膜炎が右眼に発症し,さらに前房蓄膿が生じた。結節性強膜炎に相当する眼底部位に白色腫瘤があり,網膜剥離が併発していた。真菌または結核性眼内炎を疑い,硝子体手術を行ったが,初診から3か月後に右眼は壊死性強膜炎を経て有痛性眼球癆になり,眼球摘出に至った。病理学的に眼底の白色腫瘤は脈絡膜膿瘍であった。その後左眼にぶどう膜炎が起こり,前房蓄膿、アフタ性口内炎,結節性紅斑が生じ,完全型のベーチェット病と診断が確定した。全経過を通じ,眼病変はコルヒチン,副腎皮質ステロイド,抗結核療法のいずれにも反応しなかった。初発眼症状が非定型的なために診断と治療が困難であったベーチエット病の症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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