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特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(3) 原著
緑内障の検眼鏡的眼底所見と視野の関連性
著者: 市岡伊久子1
所属機関: 1市岡眼科
ページ範囲:P.737 - P.742
文献購入ページに移動 緑内障の疑いがある252人,421眼を検索した。眼底検査には細隙灯顕微鏡にコンタクトレンズを併用した。症例の内訳は,正常眼圧緑内障192眼,嚢性緑内障と開放隅角緑内障88眼,急性隅角閉塞緑内障25眼,高眼圧症25眼などであった。ハンフリー視野計のglaucoma hemifield testが正常範囲にある12眼のすべてに神経線維層欠損(nerve fiver layer defect:NFLD)があった。乳頭陥凹が偏位している例では,ハンフリー30-2静的視野検査でのmean deviationが有意に低下またはcor—rected pattern standard deviationが上昇していた。Zoneβと豹紋状眼底の症例では,その程度に応じて視野感度が低下していた。閉塞隅角緑内障では乳頭陥凹が小さく,神経線維層欠損の頻度が小さかった。初期緑内障の診断と重症度の判定では,神経線維層欠損と乳頭陥凹の程度が特に重要であった。閉塞隅角緑内障,zoneβと豹紋状眼底が目立つ例では,眼底所見による緑内障の程度判定は困難であった。
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