icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻5号

2002年05月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(3) 原著

分娩後に発症した脈絡膜循環障害によると考えられる黄斑部病変の2例

著者: 川本由紀1 山家麗1 鈴木崇弘1 松倉修司1

所属機関: 1東海大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.805 - P.808

文献購入ページに移動
 分娩後の脈絡膜循環障害によると推定される黄斑部病変の2症例を経験した。1例は26歳で,10年前から全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)があり,以来プレドニゾロンを服用中であった。順調な妊娠後に38週で分娩し,その直後に右眼中心暗点を自覚した。矯正視力は右0.6,左1.2であった。右眼黄斑部に2乳頭径大の隆起があったが3週後に自然寛解し,1.2の視力を得た。他の1例は31歳で,分娩後に総量7.000mlの弛緩出血で出血性ショックになり,意識が回復した2日後に左眼視力障害を自覚した。4週後に眼科を受診した。矯正視力は右1.2,左0.5であった。眼底と蛍光眼底造影所見から,中心性漿液性網脈絡膜症と診断した。分娩から8週後に自然寛解し,1.0の視力に回復した。発症機序は異なるが,両症例とも妊娠中毒症を伴わない脈絡膜循環障害による一過性の黄斑部病変であると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら