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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻5号

2002年05月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(3) 原著

虹彩母斑症候群における眼圧上昇メカニズムの病理組織学的検討

著者: 川嶋美和子1 山崎芳夫2 濵中輝彦3

所属機関: 1東京女子医科大学糖尿病センター眼科 2日本大学医学部眼科学教室 3日本赤十字社医療センター眼科

ページ範囲:P.813 - P.817

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 66歳男性が数週前からの左眼霧視で受診した。10年前にも左眼霧視を自覚し,瞳孔の変形と高眼圧が指摘されている。初診時の左眼矯正視力は1.2,眼圧29mmHgで,角膜浮腫を認め,虹彩面上に有茎状で茶褐色の小結節が多数あった。隅角にはシュワルベ線を越える周辺虹彩前癒着(PAS)をほぼ全周に認めた。右眼は近視以外には正常所見であった。角膜内皮細胞密度(cells/mm2)は,右眼2,951,左眼504であった。以上の所見から左眼の虹彩母斑症候群(Cogan-Reese症候群)と診断した。初診から5週後にマイトマイシンC併用線維柱帯切除術を行った。切除した隅角組織の病理所見では,メラノファージが線維柱帯間隙に充満し,シュレム管が極端に狭細化していた。本症候群での眼圧上昇には,線維柱帯間隙へのメラノファージ浸潤と、シュレム管の狭細化ないし閉塞が関与していると推定される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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