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特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(3)
原著
文献概要
網膜色素変性症11名21眼の脈絡膜循環を,フルオレセインとインドシアニングリーン(ICG)広角蛍光造影で検索した。年齢は16歳から74歳,平均50.3歳であった。網膜色素上皮が健常な後極部では,両造影法とも正常所見が得られた。すなわち,フルオレセイン造影では脈絡膜の背景蛍光がブロックされ,ICG造影では脈絡毛細管板由来のベール状蛍光があり,その後方の脈絡膜血管もほぼ正常であった。網膜色素上皮が萎縮した中間周辺部では,フルオレセイン造影で透見される脈絡膜血管が細く,背景蛍光が暗かった。ICG造影では21眼すべてでベール状蛍光が欠如し,脈絡膜血管が狭細化していた。網膜色素上皮の健常部と萎縮部との境界は,フルオレセイン造影では過蛍光,ICG造影ではベール状蛍光を呈した。網膜色素変性症での網膜色素上皮の萎縮部に脈絡毛細管板の循環不全があることから,脈絡毛細管板の循環が網膜色素上皮の状態を反映していると考えられる。
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