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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻5号

2002年05月発行

文献概要

連載 他科との連携

「アタP」に勝るとも劣らない看護婦さんの愛の“手”

著者: 清水暢夫1

所属機関: 1日本医科大学附属第二病院眼科

ページ範囲:P.885 - P.886

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 超音波白内障手術は最近のマスコミの報道や口コミにより,多くの患者さんが,簡単で苦痛もなく無意識のうちに終わると解釈している。ところがわれわれ術者の側からは,インフォームドコンセントが重視されており,手術方法から合併症まで説明しなければならない。万一の場合として,核落下や駆逐性出血まで説明している。このため患者さんは,マスコミや口コミなどで理解していた手術に対する概念と医師側の説明との間に,かなりの違いがあることに驚いてしまう。手術中にこんなはずではなかったと思い込み,異常な緊張に駆られてしまう。手術中の操作をすべて痛みと感じてしまう人がいる。そして冷静さを失い眼瞼に力を入れたり,眼球を動かしたり,顔を動かしてしまう。そこで私は,術前の局所麻酔では痛みはとれるが行っている操作はある程度わかり,また,術中に眼球を下転させたり上転させたりと協力してもらう必要のあること,痛みと行っている操作の感じは違うことを説明している。すると,さらに緊張してしまう(らしい)。特に2回目(反対眼)の手術では,前回の手術の記憶と比較してしまうことから緊張する人が多い。局麻の欠点と思われる。
 そこで,ここ数年前より当院においては,当日,患者さんを受け持つ手術室の看護婦が,手術前日に病室を訪問し,患者さんに手術室での手順の説明をしたり,術中に看護婦が側に付いて手を握り,何か異常があったときには患者さんが手を強く握りしめて合図をするようにと説明している。これにより患者さんと看護婦の信頼関係がより密接になっている。そして当日,手術の際には看護婦が脇に座って手を握り,気分は悪くないかとか,もう少しで手術は終わりますよと話しかけている。このことにより患者さんの緊張はかなり緩和され,痛みに対しても神経が和らいでいるようだ。ひいては合併症の軽減につながっている。手術室の看護婦さんに感謝している次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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