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特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(4)
原著
文献概要
31歳男性が4か周前からの右眼の視力低下で受診した。矯正視力は右0.05,左1.0,眼圧は右12mmHg,左13mmHgであった。右眼の角膜に豚脂様後面沈着物,前房に炎症細胞の浮遊,隅角に大きな結節があった。左眼の前眼部には異常所見はなかった。眼底所見として,右眼の黄斑部の網膜下に淡黄色の境界不鮮朋な約5乳頭径大の隆起性病変があり,左眼の黄斑部の外上方に約1乳頭径大の隆起があった。気管支からの採取物の生検を含む全身所見からサルコイドーシスと診断した。プレドニゾロンの経口投与による漸減療法で,眼底の隆起性病変は著しく縮小し1,10か月後に右眼視力は1.2に改善した。本症例は,両眼の脈絡膜肉芽腫がサルコイドーシスの初発所見であり得ることを示している。
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