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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻6号

2002年06月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(4) 原著

眼内白血病細胞浸潤の2症例

著者: 大下祐次12 児玉俊夫2 鈴木厚2 鳥飼治彦2 大橋裕一2 浦部環3 野村哲彦3

所属機関: 1正岡眼科 2愛媛大学医学部眼科学教室 3愛媛大学医学部第1内科学教室

ページ範囲:P.987 - P.992

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 白血病の眼合併症として稀な白血病細胞の直接浸潤の2例を経験した。症例1は59歳男性で,成人T細胞性白血病リンパ腫(ATLL)の経過中に,両眼に前房蓄膿を伴った虹彩炎を生じ,ステロイド治療に反応しなかった。前房穿刺を行ったところ,前房水中にATL細胞が認められ,さらにPCR法によりヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV—Ⅰ)のウイルスゲノムが検出された。化学療法と放射線照射(総量30Gy)の併用によりぶどう膜炎は消退した。症例2は71歳男性で,急性骨髄性白血病(AML)の経過中に視神経乳頭浮腫を生じた。MRI検査で視神経の著明な腫大を認めたため,白血病細胞が右視神経に選択的に浸潤したものと考えた。化学療法を開始したが,敗血症を併発し無菌室での治療のため放射線照射は施行できず,3か月後には失明に至った。放射線療法の有無が,眼合併症の予後を左右すると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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