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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻6号

2002年06月発行

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(4)

原著

脈絡膜新生血管抜去術後,色素上皮下の残存新生血管が退縮した1例

著者: 岩橋佳子1 張野正誉1 永谷周子2

所属機関: 1淀川キリスト教病院眼科 2ガラシア病院限科

ページ範囲:P.1037 - P.1040

文献概要

 51歳男性が5か月前に発見された左眼視力低下と変視症で受診した。左眼矯正視力は0.3であった。傍中心窩に1/2乳頭径大の灰白色の混濁があり,周囲に出血性・漿液性色素上皮剥離があった。蛍光眼底造影で,脈絡膜新生血管(CNV)の縁は中心窩から200μm以内にあった。光干渉断層計で色素上皮下のCNVは確認できず,CNVの一部が神経網膜下にあった。この所見から,CNVはGass分類の1+2型と判定した。手術で神経網膜下のCNVは抜去できたが,色素上皮下のCNVは途中でちぎれ,一部が色素上皮下に残った。色素上皮欠損は生じなかった。摘出組織に血性滲出物と未熟な血首内皮があったが,線維組織はほとんどなく,全体に脆かった。以後残存CNVは自然退縮し,9か月後の矯正視力は0.8に改善し,術後1年間の観察で再発はない。本症例では色素上皮とCNVの接着様式が通常とは異なっていると推定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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