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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻6号

2002年06月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(4) 原著

眼球突出をきたした巨大眼窩髄膜腫

著者: 武田桜子1 高沢朗子1 五嶋摩理1 川本潔1 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学附属第二病院眼科

ページ範囲:P.1077 - P.1081

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 51歳女性が11年前に左眼突出を自覚した。視力が徐々に低下し,数年後に失明した。以後も左眼突出がさらに進行したため当科紹介され受診した。視力は右1.0,左0であった。突出度はHertelで右12mm,左31mmであり,左眼に視神経萎縮があった。脳神経症状はなかった。画像診断で左眼窩後壁を背面とする境界鮮明な腫瘤があり、これに接する眼窩後壁に骨肥厚像があったが,破壊像はなかった。腫瘤は海綿静脈洞,髄膜腔,脳槽を充満し,脳幹周囲に広がっていた。これらの所見から髄膜腫を疑い,眼窩の生検を行った。病理組織学的に髄膜上皮腫型髄膜腫と診断した。側方からKrönlein法で眼窩に到達し,眼球を保存しながら可能な限り腫瘍を除去した。術後に眼球突出が軽快し,閉瞼可能になった。脳神経症状は生じなかった。本例の髄膜腫は眼窩の視神経鞘以外の部位に原発し,上眼窩裂または視神経管経由で頭蓋内に進展したと推定される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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