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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻6号

2002年06月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(4) 原著

鈍的外傷による眼球破裂の検討

著者: 樋口暁子1 喜多美穂里1 有澤章子1 鈴木拓也1 小松正樹1 池口有紀1 小岸淳一1 河本知栄1 松本美保1

所属機関: 1大津赤十字病院眼科

ページ範囲:P.1121 - P.1125

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 過去5年間の鈍的外傷による眼球破裂21例21眼を検討した。年齢は25歳から92歳,平均67歳で,痴呆と強度近視が各6例あった。受傷の原因は,転倒11例,打撲9例,交通事故1例であった。白内障など手術歴が12眼にあった。眼球破裂の部位は,強膜16眼,角膜2眼,強角膜3眼で,15眼が角膜輪部に平行で,創の大きさは平均15.3mmであった。眼内レンズ挿入眼8眼すべてで眼内レンズが脱臼または脱出していた。有水晶体眼10眼中4眼で水晶体が偏位または脱出していた。網膜脱出が4眼,網膜剥離が15眼にあった。12眼に硝子体手術を行い,網膜剥離9眼中5眼で網膜が復位した。初診時視力は1眼以外は0.1末満であった。最終視力は,0.1から0.3が3眼,0.4以上が3眼であった。最終視力が光覚弁なしになる危険因子は,創の大きさが15mm以上(p=0.017),網膜全剥離(p=0.011),初診時に光覚なし(p=0.015)であった。0.1以上の最終視力が得られる関係因子は,創の大きさが15mm以下(p=0.029),網膜剥離なし(p=0.031),硝子体手術施行(p=0.031)であった。眼球破裂に対して硝子体手術は視力予後を好転させる一因子である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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