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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻6号

2002年06月発行

文献概要

特集 第55回日本臨床眼科学会 講演集(4) 原著

連続装用ソフトコンタクトレンズに観察された細菌バイオフィルム

著者: 工藤昌之1 針谷明美1 上野聰樹1 山本啓之2 寺久保繁美2 佐々木千鶴子3 与那覇朝英3

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学眼科学教室 2聖マリアンナ医科大学微生物学教室 3聖マリアンナ医科大学中央電子顕微鏡研究施設

ページ範囲:P.1129 - P.1132

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 88歳女性が右眼充血で受診した。20年前に右眼に白内障手術を受け,10年前から無水晶体用ソフトコンタクトレンズを装用していた。洗浄,消毒,または交換はほとんど行わなかったという。右眼矯正視力は手動弁で、血管新生を伴う角膜浮腫があり,乳頭増殖性結膜炎があった。コンタクトレンズは強く白濁し,表面が不整であった。角膜病変は抗生物質の点眼で1週問後に軽快した。結膜嚢からの培養でCorynebacterium spp.が検出された。透過電子顕微鏡検査で,レンズ内に嵌入している厚さ10μmの細菌バイオフィルムがコンタクトレンズの表面に観察された。コンタクトレンズの沈着物を足場に細菌が付着したが、生体防御機構が作用して眼表面は保護され,バイオフィルムを形成したと推定した。このバイオフィルム形成が角結膜感染症の誘因になった可能性が大きい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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