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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻7号

2002年07月発行

文献概要

特集 角膜屈折矯正手術を手がける前に

【LASIK術中合併症—私の対応策】マイクロストリエ予防策

著者: 江口秀一郎1

所属機関: 1江口眼科病院

ページ範囲:P.1215 - P.1215

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 LASIKの術中・術後合併症のうち,最も頻度の高いのがマイクロストリエである。マイクロストリエの発生する機序として,エキシマレーザー照射後によりフラットになった角膜ベッドとフラップの形状のミスマッチにより角膜フラップに皺がよるtenting effectが広く受け入れられてきたが,実際に手術を行ってみると,このような機序の他に,マイクロケラトームに起因するマイクロストリエが存在する。マイクロケラトームで角膜フラップを作成する際に,ケラトームの刃の振動数や,切開された角膜フラップを受け取るケラトームヘッドのプレート部形状や仕上げにより,切開された直後の角膜フラップにヒンジに平行なマイクロストリエを認めることがある(図1)。このストリエを放置したままフラップを反転してエキシマレーザー照射を行うと,エキシマレーザー照射後にフラップを角膜ベッド上に戻してもフラップの皺が残り,層間の洗浄程度では解消できない。
 このようなタイプのマイクロストリエを予防するには,フラップアプラネーター®を用いるとよい。通常,アプラネーターはエキシマレーザー照射後,フラップの創間洗浄を行った際に創間に溜まった水分を排出するのに用いる。しかし,ストリエ対策のためには,もし角膜フラップ作成時にフラップのストリエを認めたら,マイクロケラトームを取り外した直後に,フラップやベッドが十分に保湿されているうちにフラップアプラネーターを用いて角膜フラップを伸ばしてストリエを解消する(図2)。エキシマレーザー照射後にフラップを戻してからこのような操作を行っても,角膜フラップはマイクロストリエを残したまま乾燥してしまい,その紋理は長期間残存してしまう。見つけたらすぐ整復する。これがストリエ対策の第一歩である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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