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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科56巻8号

2002年08月発行

雑誌目次

連載 今月の話題

防腐剤黄斑症

著者: 三宅謙作 ,   太田一郎 ,   扇谷晋 ,   三宅三平 ,   茨木信博 ,   後藤陽子

ページ範囲:P.1303 - P.1310

 防腐剤の入ったラタノプロスト,チモロール,入っていないチモロール,および防腐剤の入った基剤,入らない基剤を使用した術後早期偽水晶体眼の房水フレア値,蛍光眼底造影法で検出できる嚢胞様黄斑浮腫(CME)の頻度を比較した。房水フレア値とCME頻度の増加は防腐剤の入ったラタノプロスト,チモロール,および防腐剤の入った基剤が他のものより有意であり,CME頻度はこの3者で有意差はなかった。この結果は房水フレア,特にCME頻度の増加は主剤より防腐剤(塩化ベンザルコニウム)が有意に関与していることを示唆している。これを確認するために,術後炎症の主役であるヒト水晶体上皮細胞の培養系を使用し,ラタノプロストとチモロールの主剤,および塩化ベンザルコニウムの細胞形態障害,サイトカインとprostaglandin(PG)の産生能を指標に検討した結果,塩化ベンザルコニウムによる細胞障害やサイトカインとPG産生能は主剤に比べはるかに強いことが示された。これらのことは,防腐剤が術後眼の水晶体上皮細胞など創傷治癒過程にある眼内細胞に点眼されることによりPGなどの合成が増加し,CMEなど術後炎症が増強することを示す。このような機序から,ラタノプロストやチモロールなど対緑内障薬点眼で惹起されるCMEが“防腐剤黄斑症”と呼べる側面があることを解説する。

眼の遺伝病・36

ペリフェリン/RDS遺伝子異常による網膜変性(8)—Arg172Gln変異と常染色体優性黄斑ジストロフィー

著者: 和田裕子 ,   玉井信

ページ範囲:P.1311 - P.1313

 Peripherin/RDS遺伝子異常が引き起こす表現型は網膜色素変性,黄斑ジストロフィ,錐体桿体ジストロフィ,白点状網膜炎と非常に多様性に富んでいる。特にコドン172に起こる変異は,常染色体優性黄斑ジストロフィを起こすことが報告されている。ペリフェリン/RDS遺伝子異常による網膜変性のシリーズ(5)では,Arg172Trp変異と黄斑ジストロフィについて報告した。今回はArg172Gln変異を伴った黄斑ジストロフィの1家系を報告する。この変異は,既に1993年にWellsらが報告している変異と同じ変異であり,人種差を超えた共通の黄斑ジストロフィの遺伝子変異であると考えられる。

眼科図譜・376

結膜腫瘍が疑われた結膜アミロイドーシスの1例

著者: 小松正樹 ,   南部裕之 ,   高橋寛二 ,   宇山昌延 ,   松村美代 ,   植村芳子 ,   桑原博子

ページ範囲:P.1314 - P.1315

緒言
 アミロイドーシスとは,アミロイドと呼ばれる異常蛋白が身体諸臓器の間質に沈着し,機能障害を起こす症候群である。眼科領域のアミロイドーシスは全身性アミロイドーシスに合併するものが多く1),眼科領域のみに限局するものは角膜では多くみられるが,他の部位では稀である。今回,結膜腫瘍が疑われた続発性限局性の結膜アミロイドーシスを経験したので報告する。

眼科手術のテクニック・149

角膜内皮細胞障害

著者: 宮田和典

ページ範囲:P.1316 - P.1317

医原性水疱性角膜症は減っていない
 白内障手術において最も避けるべき合併症は,角膜内皮細胞障害とそれに引き続き生じる水疱性角膜症であろう。この10年,超音波機器の開発,ヒアルロン酸製剤の導入と白内障手術の進歩には目を見張るものがある。安全になったはずの白内障手術であるが,全層角膜移植術の統計をみてみると,この10年での白内障手術後の水疱性角膜症は減少していないのである。
 その理由には,術者の増加に伴う初心者の増加,以前は行われていなかった難易度の高い症例への応用などが挙げられるが,超音波乳化吸引術導入時ほど角膜内皮細胞への関心が薄れているのも1つの理由と考えれられる。

あのころ あのとき・20

日本角膜移植の夜明け

著者: 今泉亀撤

ページ範囲:P.1319 - P.1324

1.眼科医の執念
 「何よりも嬉しかったのは字が読めることだった。見えると云う事は何てすばらしい事なんだろう。字を書く練習。それまでは音だけで習っていたピアノも五線符のオタマジャクシを眼で追いながらのレッスン,教科書も点字から普通の字の本を使うようになった。私の世界は大きく変った」。
 これは1957(昭和32)年に私が行った角膜移植手術で光を取り戻した少女の手記の一部だ。手術を受けたときは盲学校6年生。手記は12年後,20代になってから書かれたものだが,当時の喜びを生き生きと映し出す。

他科との連携

糖尿病キャンペーンおよび漢方薬治療

著者: 長木康典 ,   早坂征次

ページ範囲:P.1375 - P.1376

 筆者らは内科医と糖尿病キャンペーンを行っており,また和漢診療学講座と漢方薬について研究中です。それを紹介します。
 眼科領域で,他科との連携が重要な疾患の1つは糖尿病と思われます。富山県では,内科医と眼科医が共同して糖尿病眼合併症を減少させるため,1995年から「内眼糖(内科・眼科・糖尿病)研究会」という勉強会を行っています。年に1度,内科医と眼科医から糖尿病に関する演題発表と,特別講演の講師を招き,内科医は糖尿病眼合併症の,眼科医は内科的糖尿病の管理と治療を勉強する会です。大学病院の内科医と眼科医はもちろん,富山県医師会も参加した大規模な勉強会です。毎年盛況で,毎回多くの情報を交換しあっています。

今月の表紙

角膜後面沈着物

著者: 福井勝彦 ,   大野重昭

ページ範囲:P.1325 - P.1325

 40歳女性。右眼に流涙,羞明,結膜充血が出現し,前房混濁が強く,受診時には眼底透見不能でデカドロン結膜注射後に眼底透見可能となった。眼底所見は硝子体混濁,網膜周辺部全体に黄色滲出斑,網膜下出前散在と血管周囲炎が認められた。右眼視力は0.02(0.06),眼圧15mmHg,前房所見は前房内cell (2+),前房flare (2+),角膜下方の三角形の位置に黄褐色の点状(豚脂様)の角膜後而沈着物(keratic precipitate)が認められた。臨床症状および抗ウイルス抗体価により桐沢型ぶどう膜炎と診断された。網膜剥離が進行し,網膜復位術を施行した。
 表紙の写真は,スリット光の幅をできるだけ細くしスリット光とカメラとの傾斜角を35〜40度で撮影した。フィルムはKodakのエクタクローム400,フォトスリットはZeiss社製Model−211を使用した。

臨床報告

星状神経節近傍直線偏光近赤外線照射療法の調節機能と裸眼視力に与える効果

著者: 森茂 ,   銭谷不二人 ,   佐野邦人 ,   大塩善幸 ,   大木孝太郎

ページ範囲:P.1333 - P.1337

 星状神経節部位に直線偏光近赤外線照射を行い,調節と裸眼視力への影響を検索した。対象は,成人健常者75名150眼と,いわゆる偽近視のある小児119名218眼である。照射は,1回7分を週1回行い,1週から7か月これを繰り返した。全例で照射前後で裸眼視力,矯正視力,屈折,眼圧を測定した。裸眼視力は小児の65%で2段階以上改善し,その他の項目については有意な変化はなかった。成人39名78眼と小児7名14眼では屈折計による調節と瞳孔面積を測定し,両群で調節反応量が有意に増加した(p<0.01)。調節力が増加した理由として,交感神経系を介しての調節機能への影響と,眼循環血流量の増加による毛様体機能への影響とが推測された。

良好な経過をたどったStevens-Johnson症候群の1例

著者: 佐藤俊介 ,   奥田芳昭 ,   丸山久子

ページ範囲:P.1341 - P.1347

 24歳女性が両眼の眼痛,眼瞼腫脹,開瞼不能で受診した。5日前に熱発と咽頭炎に対してジクロフェナク坐剤を使用した後,口腔内びらん,全身の皮疹と水疱,眼症状が出現している。激しい偽膜性結膜炎があり,全身に暗褐色紅斑がびまん性にあり,肺炎が併発していた。これらから,薬剤により誘発されたStevens-Johnson症候群と診断した。副腎皮質ステロイド薬と抗生物質の全身投与を開始し,偽膜除去と硝子棒による瞼球癒着剥離などを行い,二次感染の予防と消炎などの初期治療を連日積極的に実施した。偽膜と分泌物は10日後から減少し,20日後には大きく軽快した。発症1年後には,軽度の結膜瘢痕と乾性角結膜症を残すのみで,視力は良好であり,社会復帰ができた。偽膜性結膜炎が発症した2日後から積極的な初期治療を行ったために良好な結果が得られたと評価される。

多発性の涙腺多形腺腫の1例

著者: 津田恭央 ,   宮華青 ,   雨宮次生

ページ範囲:P.1349 - P.1353

 68歳女性が6年前からの右上眼瞼と側頭部の腫脹で受診した。27年前に右眼窩腫瘍で腫瘍摘出術が行われ,病理診断は多形腺腫であった。右上眼瞼耳側と右側頭部に表面平滑で弾性硬,可動性のある腫瘍を触れた。腫瘍摘出術を行い,両腫瘍とも良性多形腺腫と診断された。涙腺多形腺腫は比較的頻度の高い涙腺原発の腫瘍であるが,これが多発することは稀である。耳下腺の多形腺腫の再発例では組織学的に6割以上に多発性腫瘤があるとされているが,涙腺ではほとんど報告例がない。過去の腫瘍摘出が不完全であったための再発と考えられる。

原因疾患と角膜移植術後眼圧上昇の相関

著者: 山田直之 ,   森重直行 ,   柳井亮二 ,   近間泰一郎 ,   相良健 ,   西田輝夫

ページ範囲:P.1355 - P.1360

 過去5年7か月間に行った全層角膜移植術の症例で,1か月以上経過が観察できた183眼につき,術後の眼圧上昇に関係する因子を検討した。角膜移植術を必要とした原因疾患は,炎症性134眼と非炎症性49眼であった。炎症性の内訳は,水疱性角膜症51眼,角膜白斑49眼,角膜穿孔14眼などであり,非炎症性のそれは,円錐角膜40眼と角膜ジストロフィ9眼であった。22mmHgを超える術後の眼圧上昇の頻度は,炎症群で39%,非炎症群で41%であり,有意差はなかった。炎症群での眼圧上昇は,原因疾患により隅角に器質的または機能的な問題があったためと推定した。副腎皮質ステロイド薬による眼圧上昇の頻度は,炎症群で15%,非炎症群で65%であり,後者で有意に高率であった(p<0.0001)。角膜移植術後の眼圧上昇が,原因疾患で機序が異なることを示す所見である。

抗GQ1b抗体陽性の小脳失調を伴わない感染後急性外眼筋麻痺の2症例

著者: 滑川道人 ,   村松慎一 ,   田中康文 ,   藤本健一 ,   中野今治 ,   楠進

ページ範囲:P.1361 - P.1364

 34歳男性と28歳女性が複視で受診した。先行感染は,1例には10日前に上気道感染が,もう1例には8日前に下痢がみられた。2例とも眼瞼下垂と瞳孔異常を伴わない外眼筋不全麻痺があった。小脳失調と腱反射異常はなかった。血糖,血清の乳酸とピルビン酸,甲状腺機能,脳脊髄液は正常範囲であった。脳の磁気共鳴画像(MRI)所見には異常がなかった。両症例とも抗アセチルコリン受容体抗体は陰性であった。血清の抗GQ1blgGが強陽性であり,「抗GQ1b抗体陽性の小脳失調を伴わない感染後急性外眼筋麻痺」と診断した。眼症状は,それぞれ4か月後と50日後に自然寛解した。本疾患は,片眼性のものを含み過去に46例の報告があり,Fisher症候群の不全型ないしGuillain-Barré症候群の亜型であると考えられている。

Low Vision Evaluator(LoVE)による周辺部残存視野の評価

著者: 秋山博 ,   中川陽一 ,   高橋佳奈 ,   和田裕子 ,   玉井信

ページ範囲:P.1377 - P.1381

 中心視野が消失した末期緑内障14眼と,網膜色素変性症15眼の視機能を評価した。緑内障眼の視野はすべて湖崎分類Vbであった。視機能評価には,全視野刺激型光覚測定装置Low Vision Evalua—tor(LoVE)を使用した。Goldmann視野測定で残存する視野を立体角に換算した値(steradian)とLoVEスコアには高い相関があった(緑内障:r=0.8437,p<0.001,網膜色素変性症:r=0.8415, p<0.001)。同じような残存視野であっても,原因疾患によりその生理機能に差がある可能性が示された。

硝子体切除術後眼に対する眼内レンズ二次挿入時に生じた駆逐性出血

著者: 春山洋 ,   今井雅仁 ,   飯島裕幸

ページ範囲:P.1383 - P.1386

 51歳男性の左眼の眼内異物に対して硝子体手術と水晶体切除術が6か月前に行われた。今回,眼内レンズ二次挿入のために毛様体扁平部に灌流用ポートを作り,灌流下で強角膜トンネルを作製した際に虹彩脱出が生じた。灌流を中止し,眼内レンズを嚢外に固定した。その直後に出血性脈絡膜剥離と網膜剥離が生じた。経強膜ドレナージを行い,硝子体をSF5で置換して手術を終わった。その後,前房と硝子体出血で眼底が透見不能となった。手術の16日後に硝子体腔を洗浄したところ,脈絡膜剥離は消失していた.最終視力は0.9であった。硝子体切除の既往のある眼に灌流を行わずに眼内レンズを挿入したために眼圧が急激に低下し,駆逐性上脈絡膜出血が生じたと推定した。

カラー臨床報告

ポリープ状脈絡膜血管症の自然消退例

著者: 武田丹音 ,   高橋寛二 ,   正健一郎 ,   永井由巳 ,   和田光正 ,   尾辻剛 ,   松村美代

ページ範囲:P.1327 - P.1332

 ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)2症例で,病変が自然寛解した。症例は73歳女性と59歳男性で,いずれも片眼性であり,罹患眼の矯正視力はそれぞれ0.15と0.6であった。初診から21か月と9か月でポリープ状病変が自然消退し、黄斑部の滲出性変化が消失し,視力はそれぞれ0.5と1.0に改善した。インドシアニングリーン蛍光造影で,根幹部の異常血管網は消失しなかったが,ポリープ状病変の消退過程で病変内部に低蛍光領域が出現し,のちにポリープ状病変が消失した。光干渉断層計(OCT)所見では,ポリープ状病変部の網膜色素上皮の隆起が平坦化し,その内部反射が亢進し,網膜剥離が消失した。これらの画像所見から,ポリープ状病変の消退機序として,病変内部の血栓形成による血管瘤の器質化が自然に生じた可能性が推定された。

やさしい目で きびしい目で・32

私の宝物

著者: 佐藤美保

ページ範囲:P.1367 - P.1367

 教育について考えるとき,私はよく,留学していた米国インディアナ大学小児眼科・斜視部門のことを思い出す。Helveston教授は多くの論文や教科書を書いており,その手術手技,アイディアの豊富さで有名な先生である。彼の指導を受けるために,全米のみならず各国から若い眼科医たちが集まってくる。私もそこで多くの知識や技術を学んだが,学んだことはそれだけではない。
 ある日,私は彼の手術の助手についていた。鮮やかな手つきで,内直筋を露出し,縫合糸を通し,強膜を薄くすくって眼球に縫いつけていく。そして,その通した糸を結ぶとき,「あれ?」と思った。彼が教科書に書いているように,糸をロックさせながら結ぶ方法をしていないように見えたからである。私は自分の目を疑い,何かの間違いだろうと思って,もう一度反対の糸を結ぶときに眼をこらして見つめた。「やはり違う」。その後,2度3度と彼の手術についたが,やはり違う。彼は意識して縫合の仕方を変えているのだろうか,うっかり間違えているのだろうか。私はこの事実を親しいスタッフの1人に軽い気持ちで告げてみた。「Helveston教授は自分で教科書に書いているような糸の結び方をしていないと思う」。こんなことを知識も浅く,また,言葉もたどたどしい留学生からうち明けられたらどう思うだろう。「彼がそんなことをするはずはない」と全く相手にされないだろう,と思う私の気持ちと裏腹に彼は,即座にHelveston教授の部屋へ行き,彼に言った。「Mihoがあなたの糸結びは間違っていると言っている。ここでやって見せてください」。Helveston教授は,「えっ」と驚いたような顔をすると,机の上にあった紐を手に取り,私たちの目の前で糸結びをしてみせた。それはやはり間違っていたのだ。間違いを指摘されると彼は自分の書いた教科書を取り出し,それを見ながら,何回も何回も糸を結びなおした。そして最後に納得したように私に言った。「Thank you for tellingme」。

資料

日本糖尿病学会の「糖尿病網膜症の治療」ガイドライン

ページ範囲:P.1388 - P.1391

 糖尿病患者は年々増えつづけ,病気を自覚していない潜在患者を含めれば,今や国民病ともいえるほど多数になっています。眼科領域においても,「糖尿病網膜症」の症例は毎年増えており,これに対しては内科はじめ関係診療科と緊密な連携をとって診療を進めなければならないとされています。
 このほど,12,000人余の会員を有する「(社)日本糖尿病学会」は,厚生省医療技術評価総合研究事業「科学的根拠(evidence)に基づく糖尿病診療ガイドラインの策定に関する研究」(H11—医療−101)の報告書に平成13年度の重要文献を補遺として加えるなど,多少の手を加え,「科学的根拠(evidence)に基づく糖尿病診療ガイドライン」を発表しました。これは,同学会の「EBMに基づく糖尿病診療ガイドライン策定に関する委員会」(委員長:春日雅人・神戸大学医学部第二内科)でまとめたもので,機関誌「糖尿病」(45巻,supplement 1。2002年2月28日発行)にその全体が掲載されています(表1)。

第55回日本臨床眼科学会専門別研究会2001.10.11京都

色覚異常

著者: 市川一夫

ページ範囲:P.1394 - P.1396

 一般演題9題についての報告があった。3年来の懸案であった用語の問題について,本研究会案として日本眼科学会に報告することが採択された。

眼科と東洋医学

著者: 樋口祥一

ページ範囲:P.1397 - P.1399

 漢方薬はまだまだ未知の部分が多く,眼科的なアプローチも限定されており,考えようによっては無限大の可能性を秘めています。
 今回は少し前眼部疾患に報告が偏ったようですが,それでさえ過去の文献に沿ったものから,証を判定しながらも独自の判断により著効を得たものまで,さまざまな側面からの漢方治療が存在しているのが現状です。ただ,その多様性は漢方への理解を混乱させる少なからぬ要因となり,西洋医学の科学的エビデンスとは異なった様相を呈するのは仕方のないことかもしれません。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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