icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻8号

2002年08月発行

臨床報告

原因疾患と角膜移植術後眼圧上昇の相関

著者: 山田直之1 森重直行1 柳井亮二1 近間泰一郎1 相良健1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)

ページ範囲:P.1355 - P.1360

文献概要

 過去5年7か月間に行った全層角膜移植術の症例で,1か月以上経過が観察できた183眼につき,術後の眼圧上昇に関係する因子を検討した。角膜移植術を必要とした原因疾患は,炎症性134眼と非炎症性49眼であった。炎症性の内訳は,水疱性角膜症51眼,角膜白斑49眼,角膜穿孔14眼などであり,非炎症性のそれは,円錐角膜40眼と角膜ジストロフィ9眼であった。22mmHgを超える術後の眼圧上昇の頻度は,炎症群で39%,非炎症群で41%であり,有意差はなかった。炎症群での眼圧上昇は,原因疾患により隅角に器質的または機能的な問題があったためと推定した。副腎皮質ステロイド薬による眼圧上昇の頻度は,炎症群で15%,非炎症群で65%であり,後者で有意に高率であった(p<0.0001)。角膜移植術後の眼圧上昇が,原因疾患で機序が異なることを示す所見である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら