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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻9号

2002年09月発行

文献概要

特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略 Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている 2.治療の指針

高眼圧症の管理

著者: 根木昭1

所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座(眼科学)

ページ範囲:P.92 - P.98

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はじめに
 高眼圧症(ocular hypertension:OH)とは眼圧は高値を示すが,視神経乳頭や視野に異常のないものと簡潔に定義されてきたが,視野や乳頭をどう判定するかは眼圧測定ほど明瞭ではない。Gold—mann視野計で測定された視野を基に判定すると,多くの初期原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma:POAG)が含まれてしまうであろう。Humphreyやオクトパス自動視野計で測定しても不定な疑わしい結果が出ることはよくあるし,たとえ正常であってもごく初期の緑内障変化は把握できない。より早期の変化を反映する可能性があるといわれるshort wavelength auto—mated perimetry (SWAP)やfrequency doubling technology (FDT)だけに異常があっても,それで早期緑内障と診断するコンセンサスはまだ得られていない。乳頭の肉限的判定はさらに困難で,最新の乳頭解析装置による判定も,いまだに専門家による肉眼的判定を凌駕していない。このように厳密にOHを判定しようとすると困難な症例も多い。しかし実地臨床上では緑内障に移行するリスクの高いglaucoma suspect (GS)の1つと位置付け,定期観察し,緑内障への移行を早期に把握あるいは推測し,適切な管理をすることが重要である。
 従来OHは,現在は非緑内障であるが,将来はPOAGへ移行しうる高眼圧という危険因子を抱えた群として,1つの確固たる概念を形成してきた。しかし,疫学調査により開放隅角緑内障(open-angle glaucoma: OAG)の過半数が正常眼圧であることを考えると,眼圧以外の危険因子を有するものも同様の比重で十分に経過観察をすることが緑内障管理上重要である。このような観点から,眼圧という因子のみにとらわれず,OAGの定義には当てはまらないがOAGのごく初期が疑わしいもの,あるいは将来OAGに移行しやすい危険因子を有するものなどすべてをGSとしてまとめ,OHはGSの1つとして捉える傾向もある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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