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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻9号

2002年09月発行

特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略

Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている 2.治療の指針

進行をどう判断するか

著者: 木村泰朗12

所属機関: 1順天堂大学医学部附属病院眼科 2上野眼科医院

ページ範囲:P.107 - P.108

文献概要

 原発閉塞隅角緑内障(primary angle-closure glau—coma:PACG)では,早期の場合はappositional closure(機能的隅角閉塞)を繰り返すために,眼圧は高眼圧と正常眼圧をいく度となく繰り返す。線維柱帯機能が低下し,いったん眼圧が上昇しはじめると無処置では眼圧下降が期待されない原発開放隅角緑内障(pri—mary open angle glaucoma:POAG)とは異なる。POAGは,目標眼圧を定めてそれを指標に治療をし,また進行の程度を判断していくことになる。
 一方,PACGは眼圧を指標にしていると手遅れになることがしばしばある。すなわち,虹彩周辺前癒着(peripheral anterior synechia:PAS)が1/4以上(1/4という数字には諸説あるが)完成し,眼圧が恒常的に上昇すると,レーザー虹彩切開術(laser iridotomy:LI)ではコントロールが困難になることが多くなってくる1)。PASさえ起こらなければ線維柱帯機能は正常に保たれているとされるPACGでは,房水排出機能が維持される範囲以下でのPASの形成時期なら,LIを施行することで,その後長期に無加療での経過観察で済む場合が多い。混合型緑内障やplateau iris syndromeの場合はこの限りではない。すなわち,LIを適切にする時期がPACGの進行の判断と深くかかわってくることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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