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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科56巻9号

2002年09月発行

特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略

Ⅱ.治療の実際 3.手術治療の実際

線維柱帯切除術推進派の立場から

著者: 中井義幸1 山本哲也1

所属機関: 1岐阜大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.173 - P.176

文献概要

はじめに
 緑内障では,視神経萎縮,視野異常の程度に応じて治療目標眼圧が異なる。症例によっては,治療目標眼圧をいわゆる正常眼圧よりもさらに低く設定する必要がある。耐用可能な薬物療法のみでは眼圧下降が十分でなく視神経症の進行を認める,あるいはその蓋然性が極めて高い場合には,次善の策として手術療法を選択せざるを得ない。表題にある“線維柱帯切除術推進派”とは,緑内障に対して手術療法をできるだけ行わないことを基本方針としている医師の立場からのものであることをまず理解していただきたい。
 今日行われている緑内障手術にはさまざまな選択肢があり,術式の選択に迷うことがしばしばある。しかしながら,高度の視神経障害を有する症例や,正常眼圧緑内障などの症例に対しては,眼圧を少なくとも10mmHg台前半まで下降させるのが視野予後のためによいことは先人の努力により証明されている1〜5)。線維芽細胞増殖阻害薬を併用する線維柱帯切除術の眼圧下降効果は優れており,緑内障性視神経症による視野障害進行に対する成績は格段に向上した。その反面,手術に伴うリスクも大きく,また,場合によっては合併症による視機能障害の可能性がある。そうした相反する性格を持つ線維柱帯切除術を,いかなる場合に,また,どのように適用し,管理するべきかについて述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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