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特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略 Ⅲ.術後管理の実際 1.術後管理のポイント
線維柱帯切除術合併症に対する管理
著者: 松尾寛1 山上淳吉2
所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室 2JR東京総合病院眼科
ページ範囲:P.261 - P.266
文献購入ページに移動トラベクレクトミー(trabeculectomy:以下,線維柱帯切除術)は5—フルオロウラシルやマイトマイシンC (MMC)などの代謝阻害薬の使用により長期眼圧下降成績が飛躍的に向上し,現在全世界で最も広く行われる濾過手術となっているが,濾過手術であるがゆえの合併症の問題は未だ残されており,解決されるべき問題も多い。線維柱帯切除術の術後合併症は術後早期と後期とで全く異なるが,術後早期の合併症はlaser suturelysisの導入により,最も問題であった低眼圧のコントロールがかなり容易となった。一方,後期の合併症は,術後相当期間経過後も発生し,失明に至る可能性もあることから,日常臨床でも問題となっている。このうち,濾過胞感染ならびにその局所的な危険因子として重要なbleb leakに関してはさまざまな臨床研究結果が報告されてきており,今後,症例ごとのrisk-benefit ratioが十分吟味され,より質の高いevidence based medicineの構築がなされていくものと考えられる。
本稿では,早期合併症はその診断および対処法に関するフローチャートを示すにとどめ,現在問題となっている後期合併症の管理を中心に解説する。
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