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文献概要
要約 65歳女性が右眼壊死性強膜炎として,発症から約10日後に紹介され受診した。20年前に翼状片手術が右眼に行われていた。慢性関節リウマチなど自己免疫疾患の既往はなかった。初診時視力は右1.0であり,右眼鼻側強膜が菲薄化し,結膜充血,毛様充血,前房の炎症所見があった。プレドニゾロン120mgを漸減投与したが病巣は拡大した。眼脂から培養で緑膿菌が検出され,これによる強膜炎と診断した。抗生物質の点眼と,塩酸シプロフロキサシン,トブラマイシン,ホスホマイシンの点滴を開始した。強膜菲薄化は停止し,徐々に結膜が病巣を被覆した。治療開始から13か月で強膜の菲薄化は残っているが,炎症は消失し,0.9の視力を維持している。片眼の壊死性強膜炎が緑膿菌感染で起こり得ることを示す症例である。
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