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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻1号

2003年01月発行

文献概要

やさしい目で きびしい目で 37

「検診」について考えさせられる話

著者: 岩瀬愛子1

所属機関: 1多治見市民病院眼科

ページ範囲:P.57 - P.57

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 日本緑内障学会は,平成12・13年度で,岐阜県多治見市で緑内障の疫学調査を兼ねた大規模な眼科検診を実施した。40歳以上の市民のうち,無作為抽出対象者に選ばれた方には検診への協力をお願いする一方で,1人でも多くの希望者が受診できるようにと,常設検診会場の他に市内の体育館などの公共施設を利用した巡回検診を実施した結果,17,800人が受診する一大プロジェクトになった。結果の解析が今進められているが,現地でのエピソードの中から,「検診」について考えさせられる話を2つ拾ってみた。

 症例1 74歳男性。一次検査の眼底写真と視野検査異常で二次検査に回った。男性「私の趣味はドライブ。先週運転免許を更新したばかりで,無事故無違反40年です! 視力検査で全然引っかかったことはない。現に昨日は福島に嫁いだ娘の家に中央高速と首都高速と東北自動車道を乗り継いで行ってきたばかりです。なんで,私の眼が悪いんだ!」私「あなたの眼は緑内障だと思います。視力は確かに両眼1.5ですが,視野検査の結果,中心10度ぐらいのまわりに見えていないところがあります」男性「もう運転できないということですか。眼には自信があるんですよ」。現行の運転免許用検査や職場検診など「視力」だけの検査を受けていると,視野異常は見つけられない。緑内障の症状がいかに自覚されにくいかの1例であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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