臨床報告
原発閉塞隅角緑内障に対する白内障手術の長期成績
著者:
佐藤章子1
下川良一1
蔦祐人1
所属機関:
1大館市立総合病院眼科
ページ範囲:P.1627 - P.1631
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要約 過去6年間に原発閉塞隅角緑内障の治療として,30例40眼に超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行った。レーザー虹彩切開術を含む緑内障手術が29眼に行われていた。40眼を緑内障の急性発作歴がない23眼(A群),発作歴がある8眼(B群),急性発作中の9眼(C群)に分けた。1~6年(平均約41か月)の術後観察期間中,3群すべての平均眼圧は20mmHg以下であり,各群間に差はなかった。最終観察時に,A群の6眼とB群の2眼に緑内障薬が1剤だけ投与されていた。術後の周辺虹彩前癒着(peripheral anterior synechia:PAS)が2象限未満であった33眼では,28眼(85%)が投薬を必要としなかった。術後視力は37眼(93%)で2段階以上改善した。慢性閉塞隅角緑内障と虹彩レトラクター使用眼では,術後の角膜内皮細胞密度が有意に減少した。点眼で眼圧がコントロールされている慢性閉塞隅角緑内障と発症直後の急性閉塞隅角緑内障で,PASが2象限未満であれば水晶体乳化吸引術のみで持続的な眼圧下降が得られ,投薬の減量,または中止が可能であった。