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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド I.眼感染症のトピックス

免疫不全と眼感染症

著者: 永田洋一1

所属機関: 1東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野

ページ範囲:P.10 - P.15

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 生体は細菌やウイルスなどの微生物による攻撃を受けているが,液性免疫や細胞性免疫,食細胞,補体からなる精巧な生体防御機構により絶えず撃退している。これが障害され易感染性を呈する状態を免疫不全といい,カリニ肺炎やサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)肺炎,口腔内カンジダ症,帯状疱疹などの感染症を引き起こしていくが,特徴として,➀ 繰り返し起きる,➁ 重症化し難治である,➂ 病原性の弱い微生物による日和見感染症を起こす,などがある。原発性免疫不全症と続発性免疫不全症とに大別され(表1),後者ではヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)感染による後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)と,悪性腫瘍や膠原病,臓器移植における抗癌薬や免疫抑制薬の投与による医原性のものが代表的である。近年の医療技術の飛躍的な進歩により,免疫能が極度に低下した状態でも生存できるようになってきているが,日和見感染症を起こす危険性が増えているのも事実である。

 眼感染症としては,眼局所単独で生じることもあるが,全身感染症の一部分として起きることが多い(表2)。健常人に発症した場合と臨床像を異にすることがあり,また,同時に複数の微生物による感染症をきたすこともあるので,診断や治療にあたっては慎重に対処すべきである。本項では,免疫不全患者に合併しやすい感染症について概説した後に,最もよくみられるサイトメガロウイルス網膜炎について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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