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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド I.眼感染症のトピックス

コンタクトレンズ角膜感染症―リスクファクターと予防

著者: 猪原博之1

所属機関: 1住友病院眼科

ページ範囲:P.28 - P.33

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はじめに

 現在わが国では1,000万人以上がコンタクトレンズを装用していると考えられている。今後遠近両用コンタクトレンズや虹彩付コンタクトレンズなどの普及とともに装用人口はさらに増加していくことが予測され,装用に伴う合併症の予防は重要である。特に角膜感染症は重症化すると重篤な視力障害を残すため,適切な装用指導や感染症予防の啓蒙は眼科医の社会的責務であると思われる。

 PMMA(polymethyl methacrylate)レンズが主に処方された頃にはしばしば角膜上皮障害を生じていたが,重篤な角膜感染症の報告は少なかった。1980年代に入って連続装用ソフトコンタクトレンズが使用されるようになり,コンタクトレンズに起因する角膜感染症の報告が多くみられるようになった。これには,レンズ素材のガス透過性が比較的低く,それによる角膜上皮障害とレンズの汚れによる起因菌の持ち込みが考えられた。わが国では1991年代よりディスポーザブルコンタクトレンズ(disposable soft contact lens:DSCL)が,1994年より頻回交換コンタクトレンズ(frequent replacement soft contact lens:FRCL),1995年より毎日交換DSCL(daily-wear disposable soft contact lens:DWDSCL)の販売が開始された。これらの普及によりコンタクトレンズによる角膜感染症の発症率が減ることが期待されている。しかしFRCL,DWDSCLがわが国のコンタクトレンズのシェアに大きな比率を占めるに至った現在でも角膜感染症は後を絶たない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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