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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド I.眼感染症のトピックス

感染症に対する羊膜移植の実際とその効果

著者: 久保真人1

所属機関: 1東京医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.75 - P.80

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はじめに

 感染性角膜疾患に対する治療は,抗菌薬をはじめとする薬物療法が主体であるが,穿孔をきたした場合や強い眼表面の瘢痕化を呈している場合には外科的療法が必要である。穿孔例では閉鎖する移植材料の選択に苦慮する。代表的な術式として表層角膜移植術,結膜移植,羊膜移植が挙げられるが,表層角膜移植や治療的角膜移植は手技や移植片の入手が困難であり,結膜移植は,角膜病巣の炎症の波及により結膜の状態が不良な場合は不可能となる。また,ホスト角膜が融解しつつある例では縫合が容易ではなく,術後の病巣の透見も困難である。さらに,結膜を用いる際には僚眼の結膜の状態いかんによっては採取がむずかしく,瘢痕結膜を有する不良例などは適応から除外しなければならない。羊膜移植は保存が可能であることから緊急時の対応が容易であり,またこれまでに拒絶反応の報告はなく手技や入手も比較的容易であることから,穿孔に対する補填材料として有用であると考えられる。

 感染症に対する羊膜移植については,移植羊膜の存在が病変部の視認性を悪くすることや,移植羊膜が新たな感染の土壌となる危険性などの理由から,禁忌と考えられてきた。しかし,羊膜のもつ細胞生物学的・免疫学的特殊性が次第に解明され1,5~17),羊膜移植が普及するにつれて臨床応用の範囲も拡大し,感染性眼表面疾患に対して羊膜移植を施行して奏効を得たとする報告が散見されるようになった2~4)。ここでは,感染性角膜疾患に対する羊膜移植の実際とその効果について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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