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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

特集 眼感染症診療ガイド

コラム 眼感染症への取り組み・いまむかし

角膜ヘルペスの治療・いまむかし

著者: 塩田洋1

所属機関: 1徳島大学

ページ範囲:P.80 - P.80

文献概要

 角膜ヘルペスの治療薬としては,現在アシクロビル(ACV)が第一選択薬として使用されています。ご承知のように本剤は優れた治療成績を収めています。そのため角膜ヘルペスの病像が,昔と今では少し変わってきているようです。病気の本質そのものは変わらないのですが,いわゆるよい薬の有無によって生じてきた差でしょうか。

 私が医学部を卒業したのは1968年でした。翌年から眼科医としてスタートしましたが,当時角膜ヘルペスの治療薬としてはIDU(idoxuridine)しかありませんでした。IDUは核酸合成阻害薬の一種です。単純ヘルペスウイルスの核酸合成を阻害して治療効果を発揮するのはよいのですが,ヒトの正常細胞の核酸合成まで阻害するため,細胞毒性があります。細胞毒性があってもほかに角膜ヘルペスに効く薬がなかったので,局所投与剤として市販されました。細胞毒性のために点状角膜上皮症がよくみられ,またIDUが効かない症例もありました。当時IDUが効かない症例には,ヨードチンキを1~2滴角膜に滴下し生理食塩水で洗い流したり,楊枝の先にヨードチンキを浸してそれで樹枝状潰瘍の辺縁をつついたりしていました。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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