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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド II.診断・治療のポイント 結膜

アデノウイルス結膜炎

著者: 内尾英一1

所属機関: 1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター眼科

ページ範囲:P.122 - P.125

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診断

3つのポイント

・臨床症状の重症度は,血清型よりも全身・局所の免疫状態に左右される。

・感染性は中和抗体価が上昇する発症後10日まで存在する。

・迅速診断キットはウイルス量に結果が左右される。陰性でもアデノウイルス感染を否定はできない。

1.臨床症状

 アデノウイルス結膜炎は潜伏期7~10日で発症する。典型的な症例では急性濾胞性結膜炎(図1),角膜上皮下混濁(図2),耳前リンパ節腫脹がみられる。アデノウイルスには現在51の血清型があり,生物学的共通点からA~Fの6つの亜属に分類される(表1)。結膜炎はB,DおよびE亜属によるが,亜属により臨床像は特徴がある。かつて典型例は8型によるものに限られるとされてきたが,D亜属の19型や37型でも同様の所見を呈する。B亜属によるものでも,臨床症状ではD亜属による症例と区別できない例も多く,むしろ患者の年齢やアトピー性皮膚炎などの全身・局所の免疫状態により異なることが多い。アトピー性皮膚炎合併例などでは臨床症状も強く,角膜浮腫がみられることもあるが,結膜偽膜なども含め,永続的な合併症として残存することはまずない。発症早期にはしばしば点状表層角膜症を生じ,時に結膜偽膜(図3),結膜下出血や瞼球癒着のみられる症例もある。

 臨床症状は発症後5~8日頃に最も強くなり,通常は発症後約2週間で自覚・他覚所見ともに軽快するが,感染性は血清中和抗体価が上昇する発症10日頃までと考えられるため,発症後7~10日間は登校や勤務を停止させることにより隔離すべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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