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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド II.診断・治療のポイント 結膜

単純ヘルペスウイルス結膜炎

著者: 青木功喜1

所属機関: 1青木眼科

ページ範囲:P.132 - P.134

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単純ヘルペスウイルスの組織親和性

 ウイルスが特定の組織に親和性を示す原因はウイルス側と宿主側にあると考えられている。単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)は眼瞼,角膜,結膜,網膜に病変を起こす。特に前眼部の結膜,角膜と眼瞼の病変はよく知られている。しかし,その理由について疑問なところも少なくない。

 単純ヘルペスウイルスは皮膚,粘膜に親和性がある。角膜病変は視力という面からよく研究されてきたが,結膜炎についてはこのウイルスの初感染のときに多いと理解されている。しかしその疫学に対する記載は少ない。皮膚科でみられる単純ヘルペスウイルスの病変は眼病変よりも多い。私が札幌の同じ地域で皮膚科を開業している皮膚科医と一緒にその頻度を検討した際には,皮膚科では眼科より10倍以上多い患者を診察していた。また眼病変の頻度では眼瞼病変が最も高く,次いで結膜炎で,角膜炎は最も低かった。眼科外来で単純ヘルペスウイルスによる眼瞼炎(図1)が結膜炎を合併する頻度は30%である。結膜病変が角膜に及ぶのは20%である。眼瞼炎と角膜病変は一般的であるが結膜炎にも注目しておく必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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