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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

特集 眼感染症診療ガイド

II.診断・治療のポイント ぶどう膜・網膜

サイトメガロウイルス網膜炎

著者: 山本成径1

所属機関: 1東京都立駒込病院眼科

ページ範囲:P.219 - P.225

文献概要

はじめに

 サイトメガロウイルス(CMV)は全身の臓器に広く親和性をもち,全身感染症を起こす。眼科領域で問題になるのは網膜炎である。1980年初めまで,サイトメガロウイルス網膜炎は,多くの眼科医には非常に珍しい疾患であった。先天性サイトメガロウイルス感染症や免疫抑制薬による合併症としてのサイトメガロウイルス網膜炎に遭遇する機会があっても,その頻度は極めて稀なものであった。

 しかし,AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)が1981年に報告され,1982年にHollandら1)がAIDSに合併したと考えられたサイトメガロウイルス網膜炎を報告して以来,同様の報告は全世界からなされるようになった。現在,サイトメガロウイルス網膜炎は欧米をはじめとして最も一般的な感染性網膜炎となった。わが国においてもこの傾向は同様で,AIDS患者の増加とともにサイトメガロウイルス網膜炎の報告は増加し,稀な疾患ではなくなった。しかし1995年から導入されたHAART(highly active antiretroviral therapy)によりサイトメガロウイルス網膜炎の発症率は低下した。抗サイトメガロウイルス薬耐性患者の出現の報告もあり2),またHAARTも長期化するとさまざまな副作用を伴うため,眼科医は内科医と緊密に連絡をとり,また患者と十分なコミュニケーションをとりながら治療にあたる必要がある。

 本項では,AIDSに合併するサイトメガロウイルス網膜炎を中心に述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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