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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド III.検査・治療の基礎知識

培地の選択

著者: 宮永嘉隆1

所属機関: 1西葛西井上眼科病院

ページ範囲:P.276 - P.282

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眼感染症を疑ったときは

 臨床症状や所見から感染症が疑われる疾患は,眼科領域においても少なくない。充血,疼痛,腫脹,分泌物(眼脂)などから眼感染症を疑っても,最終的にはその原因となる微生物を分離し,同定(identification)してはじめて確定診断となる。また原因微生物を同定するということは,診断のみならず,それに続く治療を行ううえでも非常に重要なものである。眼感染症といっても真核生物(動物)である原虫(アメーバなど)や真菌,原核生物である細菌,スピロヘータ,クラミジア,そしてDNA,RNAそのものであるウイルスまで種々の微生物感染がある。

 さらにその微生物を証明する方法にも,➀ 形態学的に確認する方法,例えば細菌や真菌,アメーバなどならスメア(塗抹標本)を作製し顕微鏡などで確認する方法,➁ 病原微生物を同定するための培養検査,すなわち細菌や真菌では合成培地を用いて培養し,さらにその菌独特の培地で菌を同定する培養検査,➂ 病原微生物の抗原物質を確認する蛍光抗体法や酵素抗体法,ラジオイムノアッセイ(radio immunoassay:RIA),ELISA法などの免疫学的診断法もある。さらにまた,➃ 病原体の遺伝子を検出したり(Pars field immono erectro-phoresis),ウイルスなどではPCR(polymerase chain reaction)法を用いることにより極めて鋭敏に病原体の証明ができるものなどがある。このように,一口に病原微生物の証明といっても今日では種々の方法がある。

 本項では「培地の選択」が主題となっており,さらに前後の項との関係から,細菌や真菌,アメーバなどの感染を疑ったときにどのような培地を選択し,どのように確定診断を進めていったらよいのかを主眼とした解説をしたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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