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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

特集 眼感染症診療ガイド コラム 眼感染症への取り組み・いまむかし

むかしのトラコーマ治療とその意義

著者: 小林俊策1

所属機関: 1山口大学

ページ範囲:P.287 - P.287

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 昔のトラコーマ薬物療法で広く用いられたのは,何といっても硝酸銀である。0.1~1.0%の硝酸銀溶液をつくる。上下眼瞼を反転して患者に眼をつぶるように指示すれば,瞼結膜と円蓋結膜が露出し角膜は隠れる。このとき,硝酸銀溶液を点眼し1.0%食塩水で洗う。1日1回でよい。使用する硝酸銀溶液の濃度は眼脂の多寡と炎症の強弱をみて決める。そのほか数種の薬物療法があるが,症状に応じて使用する。

 慢性期トラコーマでは瞼結膜に乳頭と顆粒(濾胞ともいう),円蓋結膜に顆粒ができているので,薬物療法で眼脂が減り炎症が多少とも沈静化するのを待って,手術療法の1つであるカイニング法を施行する。カイニング法とは,まず硝子棒の先端部分に1.0%食塩水に浸した適当量の脱脂綿をしっかりと固く巻きつけた綿棒をつくっておき,次に患者に3.0~5.0%コカイン溶液を数回点眼して結膜を麻酔した後,硝酸銀を点眼するときの要領で瞼結膜と円蓋結膜を露出し,その結膜面を先につくっておいた綿棒でわずかに出血するまで摩擦するのである。上円蓋結膜に顆粒が簇生しているときは上眼瞼をデマル鉤で二重反転し,上円蓋結膜をていねいにすみずみまで摩擦する。1週に1回をめやすに行い,その間は薬物療法を続ける。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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