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文献概要
特集 眼感染症診療ガイド コラム 眼感染症への取り組み・いまむかし
術後眼内炎との闘い
著者: 池田恒彦1
所属機関: 1大阪医科大学
ページ範囲:P.317 - P.317
文献購入ページに移動眼科領域で緊急手術を必要とする疾患には外傷や網膜剝離など数多くのものがあるが,術後の細菌性眼内炎はそのどれよりも緊急性が高い。強毒菌による眼内炎は時々刻々と症状が悪化し,同一日でも朝と夕方では所見が大きく異なるこもしばしばある。最近の白内障手術は早期に視力改善が得られるのが当たり前という認識が医師側にも患者側にもあり,日帰り手術の件数も急増している。そのため,白内障手術を安易に考え,術後眼内炎の的確な診断や紹介が遅れるケースが増えているように思う。白内障術者は,術後眼内炎の可能性を常に念頭に置いて,発症時に迅速な対応ができる体制を普段から整えておく必要がある。それ以上に大切なのは,眼内炎が疑われたときに,早期に網膜硝子体術者に紹介する決断と勇気を持つことである。
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