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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻12号

2003年11月発行

文献概要

連載 緑内障手術手技・5

線維柱帯切開術(5)

著者: 黒田真一郎1

所属機関: 1永田眼科

ページ範囲:P.1664 - P.1667

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プローブの回旋:眼球の傾き確認

 プローブを回旋する前に,眼球の傾きを確認する必要がある。シュレム管の位置関係を考慮し,解剖学的にどの方向に回すと理想的なシュレム管内壁の切開が可能となるかを考えて眼球の傾きを調節する(図1a,b)。このためには患者の頭の傾きや制御糸の強さなどをも調整する必要がある。また,プローブを回すときの手の位置と体の向きはどの方向が行いやすいかを確認し座り直す(実際に行う前に,プローブを回す動きを行ってみるのもよい。無理なく回すことができればOKである)。プローブを回旋する際の注意点は,シュレム管内壁をプローブの先から突き破るようにして切開することである。最初にプローブの先で突き破り,それから切開を広げていくという回し方である(プローブ全体をシュレム管内壁に押しつけるように回すと,抵抗が非常に強く切開することは難しいものと思われる)。したがって,プローブの回旋方法はシーソーの要領で,支点をフラップの端付近に置いてプローブの両端が前後に動くように回すのがよい(図2)。両手でも片手でもよいが,初心者はまず両手での回旋方法を修得すべきと思われる。

 プローブを1~2mm引き出し(図3),片方の手で支柱部と反対の手で上方のアームを保持し,回旋方向を確認しながら回す(図4a,b)。片手で回す場合は,下方アームの付け根1~2mmをアームと持針器の先が一直線になるように保持し(図5),両手で行う場合と同様にフラップの端が支点となるように回旋する(図6a,b)。この場合,片方の手を上方のアームに添えてもよい(図7)(プローブの先がどの位置にあり,どの方向に動いているかをイメージしながら回すことが重要である)。プローブの先1/3程度が前房に確認できたならば,ここで回旋を中止する。先のプローブを完全に回旋してしまうと防水が抜けてしまい眼球が虚脱し,反対のプローブが回し難くなるからである。同じく反対のプローブを先1/3程度が内壁を切開した状態で中止する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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