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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻2号

2003年02月発行

文献概要

臨床報告

網膜細動脈瘤による出血に光干渉断層計を用いた観察が有用であった1例

著者: 田下亜佐子1 今泉寛子2 竹田宗泰2

所属機関: 1札幌医科大学眼科学教室 2市立札幌病院眼科

ページ範囲:P.165 - P.170

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要約 73歳女性に右眼視力障害が突発し,眼底出血として即日近医より紹介され当院を受診した。右眼矯正視力は0.01であった。硝子体出血,網膜前,網膜下出血があり,網膜細動脈瘤破裂が疑われた。1か月後に硝子体出血は吸収され,黄斑部に内境界膜と思われる膜がドーム状に剝離し,ニボーを呈する網膜前出血があった。光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)では,網膜下出血が黄斑部上方で急に隆起し,その部位にドーム状の膜剝離が続き,内部に多数の点状反射があった。白内障と硝子体の同時手術を行った。術中に内境界膜のドーム状剝離を確認し,内境界膜下出血とともに除去した。手術3日後に矯正視力が0.2に回復し,8か月後に0.6pになった。視力低下の原因は,内境界膜剝離内部にある貯留液の混濁と網膜の圧排によると推定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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