文献詳細
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文献概要
症例は,57歳の男性。右眼視力低下と夜盲を主訴に来院した。初診時の視力は,右0.01(n.c),左0.4(0.7)であった。前眼部中間透光体は正常。両眼底ともに境界鮮明な無数の白点および動脈ループを有し,右眼黄斑部には2乳頭径大の網脈絡膜萎縮病変を伴っていた。全視野刺激網膜電位図では,20分暗順応後の記録に比べ,長時間暗順応後に杆体系ERGの著しい増大を認めた。錐体系ERGは減弱していた。ゴールドマン視野計による動的視野検査では,右眼に中心暗点を認め,両眼ともに非定型の色覚異常を示した。蛍光眼底所見では,右眼萎縮性病変に一致して脈絡膜毛細血管の造影欠損を認めた。同症例の妹も軽度の夜盲を自覚し上記検査を行ったところ,黄斑部変性は認められなかったが,兄と同様に眼底白点症と錐体機能不全に一致した検査結果を得た。撮影は,CANON社製CF-60UV眼底カメラ,フィルムは富士写真フイルム社sensiaII(ISO100)を用いた。この眼底カメラの画角は60度と広角であるため,乳頭部と周辺の白点が比較的余裕をもって同画角内に収められたと思われる。
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