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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

連載 あのころ あのとき 28

自己表現の日々

著者: 湖崎克1

所属機関: 1湖崎眼科

ページ範囲:P.416 - P.418

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明治は遠くになりにけり

 昔の日本男子は,あまりしゃべらないことを美徳としていた。明治生まれの父に,「お前はおしゃべりである。男は黙っているものだ」とよく叱られた覚えがある。そういえば“男は黙って○○する”という言葉が流行ったような気がする。ところが戦後アメリカ映画がどっと入ってきて,向こうの男性がよくしゃべり,大袈裟な身振りをすることに,日本男性の多くはカルチャーショックを受けたものである。あの表現でなければ自分の主張が通せないのか,女性を口説けないのかということで明治の人からみれば全く驚きであり,ひんしゅくものであったろう。しかし,今から考えても愛をうち明けるのに,黙って感じてくれ,というのでは勝手な話であるし,いかにもまだるっこく,本当に通じたかどうかわからない。やはり言葉で,適切なボキャブラリーを使って,時には身振りも入れて訴えるべきであろう。シラノ・ド・ベルジュラックやイタリア男のようにはいかなくとも,である。そこで「明治は遠くなりにけり」となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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