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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (3)

硝子体切除術後に発症した細菌性眼内炎の1例

著者: 竹林宏1 井上順治1 飯野裕1 本田美樹1 佐久間俊郎1 葉田野宜子1 清川正敏1 篠原泉1 北川均1 田中稔1

所属機関: 1順天堂大学浦安病院眼科

ページ範囲:P.507 - P.510

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要約 糖尿病網膜症がある67歳男性の左眼に硝子体出血が発症し,これに対して硝子体手術を行った。7か月前に超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術による白内障手術が施行されている。今回の経扁平部硝子体手術では,散瞳が不良なので虹彩レトラクターを併用した。術翌日に虹彩蓄膿を伴う眼内炎が生じ,抗生物質を添加した灌流液で硝子体腔を洗浄した。前房水と硝子体から細菌は検出されなかったが,臨床像から細菌性眼内炎と診断した。その5日後に網膜剝離が疑われ手術を行ったが,網膜剝離はなく,網膜血管炎は鎮静化していた。摘出した眼内レンズから細菌は検出されなかった。糖尿病網膜症への硝子体手術で前房内操作を併用するときには,通常の閉鎖式経扁平部硝子体手術よりも術後眼内炎の危険が増す可能性があり,注意が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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