icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (3)

毛虫の毒針毛による眼内炎の1例

著者: 森田啓文1 伊比健児1 西田進五1 田原昭彦1 横山満2 金澤保3 川本文彦4

所属機関: 1産業医科大学眼科学教室 2産業医科大学電子顕微鏡室 3産業医科大学寄生虫学・熱帯医学教室 4名古屋大学医学部国際保健医療学教室

ページ範囲:P.559 - P.562

文献購入ページに移動
要約 48歳男性が右眼視力低下で受診した。8日前に木を伐採中,右眼を拭った腕に毛虫が付着していた。同日某医で右瞼結膜に刺入した数本の毛を除去されたが,その後視力が低下し,眼内炎が指摘されていた。右眼は矯正視力0.01で,前房蓄膿と硝子体混濁があった。前房洗浄と硝子体切除術を行った。術中に採取した眼内組織からの細菌と真菌培養は陰性であった。薬物療法で炎症は軽快し,右眼視力は0.6に改善した。2か月後に眼内炎が再発し,視力が0.04に低下した。薬物投与で硝子体混濁が軽快したときに,小さな線状の硝子体混濁が2個発見された。再度の硝子体切除術中に,硝子体内に2本の毒針毛と毛様体扁平部に1本の毒針毛を発見し,摘出した。以後経過は良好で,1.2の視力を維持している。前房蓄膿を伴う眼内炎で,毛虫と接触した既往がある際には毒針毛による可能性があり,線状の硝子体混濁の存在が診断確定に有用であることを示す症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?