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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (3)

後部強膜炎の1例―インドシアニングリーン蛍光眼底造影などによる検討

著者: 東出朋巳1 小林顕1 田川茂樹1 山田陽久1

所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科脳医科学専攻脳病態学講座光情報伝達学

ページ範囲:P.571 - P.574

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要約 27歳女性が右眼の眼痛,変視症と傍中心暗点で受診した。17か月前に副鼻腔炎で両側上顎洞手術を受けていた。矯正視力は右0.8,左1.2であり,右眼に視神経乳頭の発赤,黄斑部網膜に皺襞,黄斑部下方に網膜浮腫があった。左眼は正常であった。フルオレセイン蛍光眼底造影で乳頭からの色素漏出と網膜浮腫部に滲出性網膜剝離を示す所見があった。赤外蛍光造影で後極部の脈絡膜毛細血管の充盈遅延,低蛍光点,斑状の脈絡膜過蛍光領域,脈絡膜血管の拡張があった。CTと超音波検査で右眼強膜に肥厚があり,特発性後部強膜炎と診断した。副腎皮質ステロイド薬の全身投与で,傍中心暗点,網膜剝離,赤外蛍光造影での脈絡膜過蛍光,脈絡膜血管拡張が消失し,これらの変化が活動性が高い部位の消炎を示すと判断された。強膜肥厚,乳頭からの色素漏出,赤外蛍光造影での脈絡膜毛細血管の充盈遅延,低蛍光点は遷延し,後部強膜炎がなお残存していることが疑われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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