文献詳細
特集 第56回日本臨床眼科学会講演集 (3)
文献概要
要約 73歳女性が5か月前からの緩慢な視力低下で受診した。視力は両眼とも手動弁で,右眼に視神経萎縮,左眼に軽度の視神経乳頭浮腫があった。画像診断で視神経鞘を含む視神経周囲組織に腫脹があった。血液検査で,抗好中球細胞質抗体(p-ANCA)が陽性であり,ANCA関連血管炎に合併した視神経周囲炎と診断した。副腎皮質ステロイドのパルス療法と免疫抑制剤による治療を行い,左眼視力はその翌日に0.2に改善した。以後,視力に動揺があったが,9か月後に左眼視力は0.7に回復した。しかし求心性視野狭窄が残った。右眼視力には変化がなかった。本症例での再発性視神経障害の発症と,炎症の再燃・寛解にp-ANCAが関与している可能性がある。
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