文献詳細
文献概要
連載 日常みる角膜疾患 2
円錐角膜
著者: 柳井亮二1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学医学部分子感知医科学講座(眼科学)
ページ範囲:P.662 - P.664
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患者:30歳,男性
主訴:右眼の視力低下と眼痛
現病歴:12~13年前,高校生のときから右眼の視力低下を自覚し,近医を受診し,右眼は円錐角膜と診断され,以後ハードコンタクトレンズを装用して視力補正を行い,経過を観察されていた。1998年ごろからは右眼に角膜上皮びらんを繰り返すようになり,すぐ脱落するためハードコンタクトレンズ装用も困難となってきた。2000年9月11日,精査と加療を目的として当科初診となった。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。アトピー素因もない。
初診時所見:視力は右0.02(矯正不能),左1.2で,眼圧は右眼が測定不能,左眼は9mmHg(NCT)であった。細隙灯顕微鏡検査において,右眼角膜中央部に著明な突出および角膜実質の混濁,菲薄化があり,左眼にも下方にわずかな突出を認めた(図1)。また,photokeratoscope(PKS)においても右眼の角膜中央部からやや下方を頂点としたプラチドリングの狭細化を認めた(図2)。TMS-2Nのkeratoconus screeningの値は両眼とも95%であった。中間透光体,眼底には異常はなかった。
治療・経過:右眼の治療目的で2001年2月13日に入院し,2月16日に右眼の全層角膜移植術を施行した。摘出した角膜のヘマトキシリン・エオジン染色では角膜中央部の菲薄化,角膜上皮の菲薄化および過形成,ボウマン膜の断裂が認められたが,炎症細胞の浸潤や内皮細胞の不整はみられなかった(図3)。術後の経過は良好で,感染や続発緑内障などはみられなかった。3月2日の退院時の視力は右0.2(0.5×S+3.0D)で,以後は外来で経過を観察中である。最近の視力は右0.3(0.9×S+5.0D()cyl-5.5D Ax180°)であった。
患者:30歳,男性
主訴:右眼の視力低下と眼痛
現病歴:12~13年前,高校生のときから右眼の視力低下を自覚し,近医を受診し,右眼は円錐角膜と診断され,以後ハードコンタクトレンズを装用して視力補正を行い,経過を観察されていた。1998年ごろからは右眼に角膜上皮びらんを繰り返すようになり,すぐ脱落するためハードコンタクトレンズ装用も困難となってきた。2000年9月11日,精査と加療を目的として当科初診となった。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。アトピー素因もない。
初診時所見:視力は右0.02(矯正不能),左1.2で,眼圧は右眼が測定不能,左眼は9mmHg(NCT)であった。細隙灯顕微鏡検査において,右眼角膜中央部に著明な突出および角膜実質の混濁,菲薄化があり,左眼にも下方にわずかな突出を認めた(図1)。また,photokeratoscope(PKS)においても右眼の角膜中央部からやや下方を頂点としたプラチドリングの狭細化を認めた(図2)。TMS-2Nのkeratoconus screeningの値は両眼とも95%であった。中間透光体,眼底には異常はなかった。
治療・経過:右眼の治療目的で2001年2月13日に入院し,2月16日に右眼の全層角膜移植術を施行した。摘出した角膜のヘマトキシリン・エオジン染色では角膜中央部の菲薄化,角膜上皮の菲薄化および過形成,ボウマン膜の断裂が認められたが,炎症細胞の浸潤や内皮細胞の不整はみられなかった(図3)。術後の経過は良好で,感染や続発緑内障などはみられなかった。3月2日の退院時の視力は右0.2(0.5×S+3.0D)で,以後は外来で経過を観察中である。最近の視力は右0.3(0.9×S+5.0D()cyl-5.5D Ax180°)であった。
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